介護保険利用の手続きと在宅介護の費用の例

(東京都足立区の場合)

ここでは、ご自宅で介護が必要となった場合の


・介護保険利用の手続き

・在宅介護の費用の例

を紹介します。







介護保険のサービスを利用する為に、下記の手続きが必要になります。要介護認定を受けてから、介護保険サービスを利用できるまで、2か月程度かかります。そのため、入院して退院後に自宅で介護する可能性がある場合は、事前に要介護認定を受けることをお勧めします。






1 要介護認定を受ける

介護保険サービスを利用する為には、要介護認定を受ける必要があります。
足立区役所介護保険課もしくは地域包括支援センター(以下、「包括」)で申請できます。
申請後に、ご自宅または入院先などで認定調査を受けます。

また、同時期に医師に主治医意見書を書いてもらう必要があります。
定期的に通院していない場合は、改めて通院します。

入院中であれば、入院先の医師が書いてくれます。

申請からおよそ1か月~1か月半で、ご自宅に『介護保険被保険者証』が届きます。


『介護保険被保険者証』には、要介護度、認定期間が記載されています。
要介護度は、「要支援」と「要介護」に分かれ、手続きが異なります。


この後は、「要介護」となった方の場合の手続きを説明します。

「要支援」の場合は、相談や契約先が、地域包括支援センターになります。
実際のケアプラン作成は、足立区では包括がケアマネジャー(介護支援専門員)に委託を行います。)


2 ケアマネジャーを探す

ケアマネジャー(介護支援専門員)は、居宅介護支援事業所にいます。
足立区役所で事業所一覧をもらい、ホームページなど確認しながらご自分で問い合わせることもできます。

最寄りの地域包括支援センターから紹介してもらうこともできます。
入院中であれば病院の相談員が、ご要望に沿って紹介してくれることもあります。

3 ケアマネジャーと面談する

ケアマネジャーが決まったら、ご自宅もしくはケアマネジャーの事務所で面談を行います。
その場合は、利用されるご本人が同席できることが望ましいです。
ただし、入院中であれば、最初はご家族だけでも良いと思います。

介護保険サービスは、ご本人の力を活かしながら、ご自宅での生活を続けるためのサービスです。
ケアマネジャーは、ご本人の生活にどのような課題があるのかを把握します。
そのため、ケアマネジャーは身体状況、病歴、収入、家族構成、住まいの環境、
ご近所づきあいの有無などを質問して確認していきます。

その後、利用できる介護保険サービスを提案します。ご本人やご家族と協議しながら、
利用するサービスを決めていきます。
また、介護保険外サービスについても、必要な情報提供を行います。


4 居宅介護支援事業所と契約する

ケアマネジャーと面談し納得できれば、ケアマネジャーが所属する居宅介護支援事業所と契約します。


その際に、ケアマネジメントを担当する為に必要な事項を説明します。
契約なので、のちにご本人から契約解除することができます。
また、ご本人及びご家族に契約内容に違反する行為が見られた場合には、居宅介護支援事業所から契約解除することもできます。

お互いの信頼関係が大切です。

なお、ケアマネジャー個人との契約ではないため、同じ居宅介護支援事業所の他のケアマネジャーが担当になることもあります。


5 介護保険サービス調整・手配

介護保険サービス内容が決まったら、
「介護サービスを提供する事業所(以下、「介護サービス事業所」)」を選定します。
※「介護サービスを提供する事業所」とは、実際に介護を提供する事業所です。

訪問介護、訪問看護、デイサービス、福祉用具貸与などです。
ケアマネジャーが、直接の介護は行うことはありません。

ご本人、ご家族に希望する介護サービス事業所があれば、そちらに依頼します。
なければ、ケアマネジャーが、サービス提供に対応できる介護サービス事業所を探します。

医療系サービスを利用する場合は、主治医の意見が必要になります。
定期受診の際などに、確認します。




6 ケアプラン原案作成

ケアプラン原案は、ケアマネジャーが作成します。
ご本人が望む生活に対する意向、総合的な援助の方針、ニーズ、長期目標と短期目標、
そして介護保険サービスや介護保険外サービスを記載した計画書です。

介護保険サービスは、ケアプランに基づいて実行されます。
そのため、ケアプランに記載されている介護保険サービス以外や回数以上の利用はできません。



7 サービス担当者会議

ケアプラン原案の内容について話し合います。
参加者は、ご本人、ご家族、ケアマネジャー、サービス提供をする事業所です。

ご本人やご家族の参加は必須ではありませんが、ご自身に関する事なので参加することが望ましいでしょう。
また、「介護サービスを提供する事業所」との契約は、この会議の前後に行われることが多いです。

8 介護サービス開始

サービス担当者会議で、利用する介護保険サービスや介護保険サービスの内容が決まります。
そして、ケアプラン原案に、ご本人が署名を行い、正式なケアプランとなります。
署名はご本人が難しい場合は、ご家族など意思確認できる方が行うこともできます。

そして、正式なケアプランの内容で、「介護サービスを提供する事業所」により、サービス開始となります。



9 定期訪問、モニタリング実施

ケアプラン作成後に、ケアマネジャーは、ご自宅に訪問してご本人と面談します。
現在は感染対策として電話で行う場合もあります。
頻度は、要介護の方は月に1回です(要支援の方は3月に1回です)。


サービスが適切に提供されているか、ご本人の現状とサービス内容に相違がないか確認するためです。
介護サービスを提供する事業所からも、サービス提供時の様子など報告を受けます。


状態変化により、介護度の見直し(区分変更申請)が必要であれば、申請代行できます。

更新の申請も同様です。





ここでは、実際にご自宅で介護保険サービスを利用した場合の費用の例を紹介します。




例1:退院後に、自宅内でリハビリしたい方

1 介護が必要な状況

病院からの退院後に体力低下があり、リハビリが必要な方の場合

・要支援1

介護保険サービスについて

・訪問リハビリを週1回

・歩行の練習のため歩行器を借りる

2 介護保険で必要な手続き

要支援なので、地域包括支援センターに、介護保険を利用したいことを伝えます。
地域包括支援センターから、ケアマネジャーを紹介されます。

地域包括支援センターの職員やケアマネジャーが、
ご本人の意向や状態を確認します。
地域包括支援センターと契約を行います。

ケアマネジャーが、主治医に訪問リハビリの必要性について確認します。
文書で行うことが多いので、受診時に主治医に提出していただきます。

その後、主治医から訪問リハビリの必要性があるという意見を確認できたら、 訪問リハビリを提供できる事業所を探します。

訪問リハビリが提供できる事業所が見つかれば、主治医に訪問看護指示書を 出してもらいます。

ご本人、ご家族、ケアマネジャー、訪問リハビリ、福祉用具専門相談員の担当者で 担当者会議という今後の支援について話し合います。
(訪問リハビリ、福祉用具貸与と契約を行います)
そして、ケアプランを作成します。

その後から、提供開始となります。
手続き開始から、提供開始まで1か月から2ヶ月はかかります。



3 費用の例(概算になります)


おおよそ合計で、1割負担の場合は月2,981円です。内訳は下記になります。



訪問リハビリ

1回あたり6,452円(1割負担の場合は645円)

月4回で25,809円(1割負担の場合は2,581円)

歩行器の貸与(レンタル)

1月あたり4,000円(1割負担の場合は400円)  


例2:一人暮らしの方

1 介護が必要な状況

転倒して足を痛めてしまう。その後、痛みは引いたが、足の筋力が低下して外出ができない 一人暮らしで、誰にも頼めない。お風呂にも入れない。

・要介護2



介護保険サービスについて

・訪問介護で買い物や洗濯を週2回
・デイサービスで入浴を週2回

2 介護保険で必要な手続き

居宅介護支援事業所のケアマネジャーに相談します。
地域包括支援センター経由でケアマネジャーを紹介してもらうこともできます。  

ケアマネジャーが、ご本人の意向や状態を確認します。
ケアマネジャーが所属する居宅介護支援事業所と契約を行います。  

ケアマネジャーが、ご本人の状態にあった訪問介護やデイサービスを探します。
その後、ご本人に訪問介護やデイサービスの事業所について説明します。
デイサービスは、事前に見学できる場所が多いので見学をお勧めします。  

その後、ご本人、ご家族、ケアマネジャー、訪問介護、デイサービスの担当者で 担当者会議という今後の支援について話し合います。
(訪問介護、デイサービスと契約を行います)
そして、ケアプランを作成します。  

その後から、提供開始となります。
手続き開始から、提供開始まで1週間から1か月はかかります。



3 費用の例(概算になります)

おおよそ合計で、1割負担の場合は月6,682円です。内訳は下記になります。 なお、デイサービスでは介護保険外の実費がかかる場合があります。

訪問介護

60分の生活援助(買い物、洗濯干し)
1回2,565円(1割負担の場合は256円)
週2回として月8回で20,520円(1割負担の場合は2,052円)

デイサービス 半日型のデイサービス 

1回5,787円(1割負担の場合は578円)
週2回として月8回で、46,303円(1割負担の場合は4,630円)    

例3:末期がんで最後まで家で過ごしたい方

1 介護が必要な状況

末期がんが見つかる。病院ではなく、住み慣れた家で最後まで過ごしたい。 体が動かず、起きあがる体力がない。一人暮らしで、近くに介護できる家族がいない。

・要介護5



介護保険サービスについて

・訪問介護で食事の介助を1日2回か3回
・訪問入浴介護でお風呂に週1回

医療保険サービスについて

・訪問看護で点滴の管理
・訪問診療


2 介護保険で必要な手続き

居宅介護支援事業所のケアマネジャーに相談します。
地域包括支援センター経由でケアマネジャーを紹介してもらうこともできます。  

ケアマネジャーが、ご本人の意向や状態を確認します。
ケアマネジャーが所属する居宅介護支援事業所と契約を行います。  

ケアマネジャーが、ご本人の状態にあった訪問介護や訪問入浴介護を探します。
その後、ご本人に訪問介護や訪問入浴介護の事業所について説明します。  

また、病院に通院できない場合は、介護保険サービスではありませんが、
ケアマネジャーが訪問診療と訪問看護を紹介することもできます。  

その後、ご本人、ケアマネジャー、訪問診療、訪問看護、訪問介護、訪問入浴介護の担当者で 担当者会議という今後の支援について話し合います。
(それぞれと契約を行います)
そして、ケアプランを作成します。  

その後から、提供開始となります。
手続き開始から、提供開始まで1週間から2週間はかかります。



3 費用の例(概算になります)

おおよそ合計で、1割負担の場合は月39,993円です。医療保険の部分は、14,500円+薬代です。 内訳は下記になります。  

訪問介護

・朝と晩は50分の身体介護(食事介助、排せつ介助)と生活援助(食事準備や片付けなど)
1回3,613円(1割負担の場合は361円)
1日2回を月31日で62回で224,055円(1割負担の場合は22,406円)

・昼は、30分の身体介護(食事介助、排せつ介助)
1回2,850円(1割負担の場合は285円)
1日1回を月31日で88,350円(1割負担の場合は8,835円)  

訪問入浴介護

1回 14,364円(1割負担の場合は1,436円)
週1回として月5回で、71,820円(1割負担の場合は7,182円)

 (もし、介護用ベッドを借りた場合)

介護用ベッド 1月15,000円前後(1割負担の場合は1,500円前後)
介護用ベッドのマットなど1月400円~700円(1割負担の場合は40円~70円)  

訪問診療

月2回の訪問診療にて、月70,000円前後((1割負担の場合は7,000円前後)  

訪問看護

週2回の訪問看護で、月8回の場合75,000円前後(1割負担の場合は7,500円前後)

  ひと月で利用できる介護保険の枠を超えてしまう場合があります。 その場合は、介護保険外で、自費の訪問介護の利用をお勧めします。   もし、ご家族がいない場合で、契約などの書類手続き、通帳からの現金の引き下ろしや支払いなどができない場合は、介護保険外になりますが、当社独自にて、財産管理等委任契約にて支援しています。